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【連載】地球の今、海の今を知る |Vol.11 「地球温暖化を“逆転”させる、ドローダウン」

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クリスマスくらいは環境問題のことを忘れたい……そんな気持ちは痛いほどわかりますが、私たちのホリデーシーズンも横目に、地球危機は刻一刻と進み、クリスマスでも日本各地でまだまだ紅葉を楽しめている2020年。「紅葉がクリスマスになる」という予測は、世界の平均気温が産業革命前より+2℃になった頃と言われていたものの、すでに感じられるくらい12月も秋晴れのような日が続きました。先日も伊豆の海へ向かう途中、この時期いつもなら富士山の雪化粧が美しいはずなのに、雪が見当たらない姿に愕然。EUコペルニクス気候変動サービスの発表では、今年の11月は世界気温が観測史上最高を記録し、12月の気温次第では2020年が観測史上最も暑い年になるかもしれないそうです。

いま地球は、平均気温を+1.5℃未満に抑えられるかどうかの瀬戸際にありますが、そんななか大きな希望をくれる本が発売されました。タイトルは『DRAWDOWN ドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法』(山と溪谷社)。「ドローダウン」とは、増え続けていた大気中の温室効果ガスが、ピーク地点から減少に転じること。本書は世界的な環境活動家ポール・ホーケンが、190人の研究者たちと協力して温暖化の解決策を紹介したベストセラーで、日本でも気候変動の専門家として名高い国立環境研究所の江守正多さん監訳により、待望の訳書発売となりました。

–{温室効果ガス削減に効果の高いトップ4は……}–
本書で紹介される解決策は7つのカテゴリーに分けられ、そのうち温室効果ガス削減に効果の高いトップ4は以下の通り。

①エネルギー(風力、太陽光など)246.13ギガトン削減
②食(プラントベースの食文化、フードロス削減、農業や放牧の方法転換など)321.93ギガトン削減
③土地利用(熱帯林保護など) 149.6ギガトン削減
④女性と女児(女児の教育機会や家族計画など)121.26ギガトン削
※ギガトン=10億トン

こう見ると、②食の影響力も大きいのが分かりますが、ここでの①エネルギーは発電(生産)のみに限定され、飛行機・車の利用や運輸、建物での電力使用などを含めた全般で見るとやはりエネルギー部門の見直しが削減効果はトップだそう。③CO2を吸収する役割も考えると森林保護による好転力も3位とパワフル。④は途上国などで女児の教育機会を増やすと人口増加を抑えられ、CO2削減量も大きいという計算で4位に入っています。

–{CO2削減量の多い上位ランキング}–
7カテゴリーからさらに100項目に細分化されていきますが、CO2削減量の多い上位ランキングも興味深いもの。

1位冷媒
2位風力発電(陸上)
3位食料廃棄の削減
4位植物性の食品中心の食生活
5位熱帯林
6位女児の教育機会
7位家族計画

4位はベジタリアンやヴィーガンを含む、プラントベースという広義で捉えた植物由来中心の食文化のことで、これだけで66.11ギガトンもCO2削減に。クリスマスディナーにお肉を頬張った方はごめんなさい……ですが、畜産は飼育や輸送プロセスでの温室効果が高く、とくに牛やヤギ、羊などの反芻動物は、餌を消化するときにCO2の約25倍も温室効果があるメタンを排出します。餌も大量に必要で、アマゾンなどではそうした家畜の牧場や餌の農地を作るために、森林伐採や森林火災が深刻化しています。ちなみに1位の「冷媒」とは、古いエアコンや冷蔵庫などに使われますが、使用時ではなく廃棄時にフロンガスや代替フロンが排出され、CO2の1000倍~1万倍もの温室効果を持ちながらオゾン層を破壊。フロンガスは少量でも破壊力が大きいため、CO2に換算すると1位ですが、全体では他のCO2量のほうが影響が大きいそう。

私たちも日常で、再生可能エネルギーの電力会社にパワーシフトするだけで、家庭から出るCO2を半分も減らせたり、飛行機・車の利用を控えたり、プラントベースの食事を増やしたり、フードロスの削減や地産地消、ゼロ・ウェイストやプラスチックフリーなども大きな貢献です。本書ではもっと詳しい気候変動に関わるたくさんの原因と解決策が紐解かれ、これを片手に一歩ずつ前進して、温暖化を逆転させたい……そんな勇気をもらえるバイブルなので、よかったら手にしてみてください。何十年、何百年先の未来も、みんながこの聖夜を笑顔いっぱいに過ごせますように、メリークリスマス!

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