
タイ・プーケット空港から北に約1時間半の場所にある人気のリゾート地、カオラック。2004年のスマトラ沖地震による津波で壊滅的な被害を受け、しばらくの間ひっそりと静まっていたが、近年一部のローカルサーファーたちによりサーフスポットとしての価値を見出されてきた。
メインの“メモリーズビーチ”はウネリに敏感ながらも、ビギナーでも楽しめるスポット。自然豊かで、海に沈むサンセットがとびきり美しい場所だ。今、ここにサーファーたちがスモールコミュニティを作り、サーフスクールやショップ、ビーチバーなどが軒を連ねている。大きな悲しみを乗り越え、助け合いながら前に進むサーフエリア。
そんなカオラックの特集を3回に渡って紹介。1回目は、2人のキュートなローカルサーファーを紹介します。
Ramee Athiya Junprasert
海でのジェンダーのハンデを乗り越えて

レミーがここカオラックでサーフィンを始めた4〜5年前、当時女性サーファーの数はわずか5人程度だった。白い肌が美しいという固定観念を社会に押し付けられてきたタイの女性たちにとって、サーフィンはメジャーに受け入れられるスポーツではなかった。さらに男性が多い海では女性というだけで辛く当たられることも何度かあったという。
涙しながらもめげなかった彼女は、自分のサーフィンを磨きに磨き、数年前に行われたSEA Gamesという東南アジアのサーフィン大会で銅メダルを獲得した。その情報はSNSで拡散され、国内でも女性サーフアスリートの存在を認知してもらえるようになったという。



「コンテストを通じて強くなれた。意地の悪いことをしてくる男の子たちには言葉で言い返さなくても、自分のスタイルを通して、スキルで示せばいいとわかったの」
最近ではタイで日焼け肌がトレンドになったこともあり、海に入る女性が格段に増えた。むしろ女性のほうが熱心にサーフィンに取り組んでいる印象だと言う。
彼女が多くの女性に勇気を与えインスパイアしてきたのは間違いない。サーフィンに性別は関係なく、誰もが平等に楽しむべきということを努力と成果で見せてくれた。レミーは今、カオラックのローカルとしてビギナーを教える立場でもある。
サーフィンの楽しさを伝えて、この自由なカルチャーを大切にしていきたいと語ってくれた。
Mink Chonnikan Phaitucksri
世界を見るタイの新星サーファーガール

パンデミック中にカオラックで本格的にサーフィンを始め、すでにいくつもの国内大会で活躍しているミンク。オーストラリアの大学で2年間学んだあと、バンコクに一時帰ったが「もうシティガールには戻れない!」とロックダウン3日前に家を飛び出し、カオラックに“スタック”した。ここは静かでカオスとは縁遠い場所。仲間と毎日サーフィンするシンプルな暮らしを楽しんでいる。



そんな彼女はアイスクリームショップのオーナーとしての顔も持つ。メモリーズビーチの小さな小屋でサーブされるフレッシュなアイスが、サーフィン後のほてった身体を冷やしてくれると人気だ。
「海と波と雰囲気が好きでここに来たけど、普段の生活があるから。毎日サーフィンするためには何かしなきゃって思って、お店を始めたの(笑)」。アイスクリームの原材料となるフルーツはローカルマーケットで手に入れる。大好きなカオラックの人々をサポートしたいという想いもかたちにした。
ビーチライフを存分に満喫しているようだが、コンテストの時には波と自分だけにフォーカスする集中力も持ち合わせている。
「自分の限界を超え、これまで学んだことをすべて活かすようにサーフィンしてる」。すでにタイ国内のコンペでは毎回上位に入るほどの腕前を持つミンクだが、来年には国際的な試合にも参加
する予定。今後のタイのサーフィン界を担う存在になるかもしれない。
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