サーフファーストな暮らしを求めて。宮崎に移住した元Cherのオーナー山﨑嘉子さんの現在

人のいないビーチで愛犬と幸せな夕暮れを過ごすのは、元Cherのオーナーであり、またSeea Japanの代表も務めていた山﨑嘉子さんとそのパートナー。昨年5月に慣れ親しんだ湘南・鎌倉を離れることを決意し、宮崎・青島に移住した。


潮風香る、センスたっぷりな“仮住まい”

東京のど真ん中に住みながら海に通っていた山﨑さん。平日の早朝、仕事前に中目黒の自宅から海に行き、週末もずっと湘南にいる生活を続けていた。
身体のためにも移住を決め、七里ヶ浜の丘の上に、誰もが憧れる素敵なサーファーズハウスを建てた。海も近く、毎日波乗りを思う存分楽しむ心地良い暮らしを送っていた。

15年間過ごした七里ヶ浜を離れようと思ったきっかけは、もっと暖かくて人の少ない海でサーフィンをしたかったから。
宮崎には長く通っていて、友人や頼れる先輩もいた。大好きな青島であれば安心できると考え、海までアクセスしやすい場所に土地を購入。設計図を眺めながら、新居のイメージを膨らませている毎日だ。
今いる借家はそれまでの“仮住まい”というが、お邪魔してみるとアートとサーフなインテリアが心地良い、素敵な一軒家だった。

「犬が3匹、車が2台、2人のサーフボードが30本あるので借家探しは困難を極めました。そんな中、青島在住のお友達が元々バケーションレンタルだった家の大家さんをくどいてくれたんです。
大家さんは家具を置くためにスペースを空けてくれたり、コンテナを置く提案をしてくれたりと、とても親切にしてくれました。今後は賃貸に出されるそうですが、おすすめの物件ですよ」

料理をしながら夕陽を眺められる窓の多いキッチンが、この家の一番のお気に入りスペース。ご飯を食べるのもお酒を飲むのも大好きな山﨑さん。宮崎は肉も野菜も果物も安くて美味しく、料理をするのがまた一段と楽しくなった。
一方で、スーパーで目当ての食材が見つからなかったり高価だったりと、流通の違いを感じる場面もあったと言う。

「でも、それが自然なのかな、と思いました。なんでもいつでも買えるのは便利だけど、旬の食材を取り入れるほうが身体にいいのかも、そう考えられるようになったんです」

ローカルの懐のあたたかさ

移住する前にはもちろん心配事もあった。今までのんびりサーフィンをしてきた自分が、日本屈指の波が立つ宮崎でも楽しめるのだろうか、そして新しい土地や人とうまく馴染めるだろうか……。

しかしそんな不安はすぐに吹き飛んだ。

「青島は関西方面から移住されている方も多く、地元の方々や移住の先輩もみんな、海でも陸でも仲が良いんです。定期的に地域の飲み会もあって、ビーチクリーンも盛ん。ありがたいことにその輪にすぐ入れてもらえたので、とても楽しく過ごせています。
一緒に町を良くしたい、盛り上げたい、みたいな考えが根付いているんです。『地域を良くする話をしよう!』って集まったのに、結局みんなベロベロになっちゃって『何話してたんだっけ?』みたいなこともよくあるんですけど(笑)」

陽気な仲間に囲まれて、サーフィンも楽しむことができている。場所とタイミング次第では、貸切サーフが可能な日もある宮崎。サイズが上がっても周りのサーファーを気にすることなくトライすることができるため、結果的にスキルの向上にもつながった。

「これまで七里ヶ浜の柔らかいリーフ波で育ったので、ビーチの洗礼を受けて結構へこたれました。オンショアのガタガタ波で沖に出れず、渋々泣き帰ったり、セットに巻かれてボロボロになって浜に打ち上げられたり(笑)。
この歳でなんでこんな目に、と思いましたが、おかげで前よりサイズのある波にもチャージできるようになったと思います。必然的に短い板も乗れるようになりました。まだまだ練習中ですが、楽しめています。
何より海は空いているし、みんな笑顔なのが最高です。混んでいないからギスギスしていない。サーフィンって、こういうものだったよねって毎日思っています」

スローな生活で優しいマインドセットに

移住する前は、宮崎はハワイのような場所だとイメージしていたが、実際住んでみると2人が好きなサンディエゴのような雰囲気だったそう。よく入っているポイントはパイプスに似た波質で、その隣の加江田はまるでカーディフのよう。オーガニックの食材が多く、ヨガが盛んなところも似ている。道も病院も役所も海も空いているから、渋滞や長い待ち時間のストレスが一切なくなったのも移住のメリットだった。自身も「優しくなった」と言う。

「周りはゆる〜い人が多く、みんな笑顔だから、カリカリ怒るのが恥ずかしくなりました(笑)」。

いま一番幸せを感じるのは海上がりにビールを飲みながら、髪も濡れたまま料理をしている時間。そしてパートナーや友人と一緒に「美味しいねえ」と言いながらそれを頬張る瞬間も。

実は少し前に乳がんを経験した山﨑さん。「ストレスなく笑って過ごすことが、がんを再発させないための大切な生き方。宮崎でそういう毎日が送れて、今とても幸せです」と清々しい笑顔を見せてくれた。

さらに快適なサーフィンライフが送れるよう設計している新居は、ゴールデンウィークに完成する予定だ。その模様は追ってレポートするのでお楽しみに!

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