
29回目に取り上げるのは「農業」。自然料理人 × 農家として、京都北部・京丹波町で「from the farm 京丹波 髙橋農園」を展開する髙橋慎也さんを紹介します。

野菜嫌いから「農家」へと転身
中学生の頃にアメリカンロックに興味を持ち、それからアメリカ料理、ジャンクフードにハマり、20代には横須賀米軍基地内のレストランで料理修行を始めました。
その後、六本木、銀座のカリフォルニア料理店でさらに本格的な料理を学ぶようになっていったのですが、生まれもってアレルギー体質であった私は負担のある食べものを食べ、仕事で作り続けているうちに、身体がついていかなくなってしまって……。ついに不調を訴えるまでに。
30代半ばには身体を壊し入院。それを機に食を見直すようになりました。マクロビオティックの食生活を実践するようになったのはその頃です。
退院後、横浜にある『ナチュラルハーモニー』というレストランで今まで苦手だったトマトのサラダを食べたとき、「こんなに甘くておいしいトマトは初めてだ!」と感動を覚えました。店員さんに尋ねると、「自然栽培のフルーツトマトなんです!」と、聞いたことない言葉ばかり。
すぐにその意味を調べたところ、野菜の作り方、トマトの品種の多さに驚きました。そこから野菜嫌いだった私が、自分で野菜を作り、作った野菜で料理してみたい! と思うように変化していったんです。

京都・京丹波に移住したのは2016年のこと。東京に住んでいたときには、休日には勉強がてら高級レストランで食べたり、休みの前日には遅くまでお酒を飲んだりという生活を送っていましたが、この地で自分で野菜やお米を作るようになってから、ほとんど外食しなくなりました。
さらに、出かけるときには必ずおにぎりと野菜のおかずを持ち歩くように。どんな素敵なお店で食べる料理でも、自分で育てたお米と野菜には敵わないな、と(笑)。今では、いくら外食でおいしい料理を食べてお腹は満たされたとしても、なぜか心は満たされないんですよ。結局、家に帰ってきてからまた自分たちで作ったお米を炊いて食べています(笑)。
365日、自然と寄り添った生活を

そんな私も気づけば、農家として8年目。365日、自然と寄り添いながら自分たちの好きなことをしている日々は、本当に毎日が充実しています。うちに遊びに来る方は、みんな長靴と手袋持参で、田畑で一緒に作物を育てるのを手伝ってくれるんです。一緒に採れた野菜やお米を外で食べて──、遊びなのか、仕事なのか、お手伝いに来ていただいてるのか、わからなくなるくらいみんなで楽しんでます。
好きなことをして、身体にも環境にも優しいことをして、毎日の生活が健康でいられること、それが私にとっての「心地よい暮らし」になっています。
農作物を育てるうえでもアップサイクルを意識

そんな心地よい暮らしを叶えられているのも、自然があってこそ。農業をするうえでも、アップサイクルは常に意識しています。
地元のしめじ工場から出る廃棄物(使い終わった後の菌床や、間伐竹のチップ)を畑の土と混ぜて微生物を増やすために再利用したり、毎月「naekd market kyoto」と「zero waste farmers market」というマルシェに出店し、規格外の野菜と私が作っているソイマヨを使った惣菜を販売したり。

さらに、コールドプレスジュース屋さんから出る、ジュースを絞った後の野菜や生アーモンドのパルプを練り込んだアップサイクルなスコーンも作っているんです。
自分の好きな作物を育てるところから始めてみる
サスティナブル、エシカルが叫ばれている今、農業に興味を持つ人も増えてきています。興味があるなら、まずは飛び込んでみることが大事。今は、色々な農業体験や農業学校も増えてますし、なんでも良いので、自分の好きな作物を作ることに触れてみてください。大好きなことって、楽しくて辛さを感じないものですから。WWOOFというオーガニックの農家さん等の暮らしをしているところへホームステイし、生活も農業も一緒に体験できるとても良い制度あるので、それを利用するのもおすすめです。
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