サーフスポットをVANで巡る旅_Vol.4(イギリス&アイルランド編)

ルーフトップにサーフボードを括りつけ、ヨーロッパの海沿いを自由気ままに旅するサーファーたち。彼らの実体験が1冊にまったシリーズ本がある。タイトルは『I LOVE THE SEASIDE』。


シリーズ最終回はイギリス(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)とアイルランドをカバーした「イギリス&アイルランド編」を紹介。その中から、スコットランド・東ハイランド地方とウエールズ・コーンウォール地方という対極する2つのエリアをピックアップ。
ヨーロッパ全体で見ると、イギリスとアイルランドは水が冷たく物価も高いため、サーファーの数は他国と比べると少ない。しかし訪れたサーファーは揃って「波質が良い!」と称賛する。ポイントも多いため、タイミングがあえば極上の波を貸し切りでサーフィンできる可能性も。英語が公用語というのも旅人にとっては嬉しいポイント。

イギリス/スコットランド

予測不可能な天候と夏になると吸血虫ヌカカが出没することで知られるスコットランド。2015年、ハイランド地域にNational Coastal Route 500が整備されたことで、多くの旅行者が訪れるようになった。おかげで休眠村や無名のトレイルコース、遺産に再び脚光が浴びるように。
スコットランドを旅すると、地ビール醸造所やウィスキー蒸溜所をよく目にするので、時間があれば立ち寄ってみたい。そして専門店でお茶を嗜み、ボートに乗って沖合の島へ。そこでローカルサーファーと仲良くなると、秘密のスポットを教えてもらえたり、決まった時間だけ現れる波など、スコットランドのサーフィン事情をレクチャーしてくれるだろう。

【エリア : Golspie & Brora】
ゴルスピー、ブローラはNational Coastal Route 500の始点、または終点近くとも言え、その観光ルートは一帯の小さな村々に活気を取り戻させた。遺跡やトレイルコースの中には、素敵な飲食店やカフェがあり。冬場に運と天気が良ければ、新しいサーフスポットを発見できるかもしれない。

©️ I LOVE THE SEASIDE

【観光 & アクティビティ:Big Burn Walk】
約1時間のやさしいウォーキングが楽しめるビッグバーンウォーク。森林地帯を抜け、一連の小さな滝を通り過ぎると岩だらけの渓谷が出現。スコットランドに入ってからずっと避けてきた雨も、この渓谷では大きな滝のように映り、雨はとても美しいものに変わる。汚れてもよい服装とブーツはマスト。車はゴルスピー・インの裏に停めることができる。

©️ I LOVE THE SEASIDE

【ショコラティエ:Cocoa Mountain】
美味しいチョコレートを楽しみたいならドーノックへ。こちらのショコラティエ、ココア・マウンテンのショコラは格別。創設者のポールとジェームスは原料のカカオ選びからこだわり、様々なトリュフ、チョコレートバー、ドロップ、他にも見ただけで涎が出そうなスイーツが店内に並ぶ。ホットチョコレートは濃厚で上品。テイクアウトして、ビーチで歩きながら飲んで。

住所:Castle Street, Dornoch, IV25 3SN
公式サイト

©️ I LOVE THE SEASIDE

【エリア : Wick】
ワイルドで広々とした景色が広がるウィック。そこから北上すると、南西のランズ・エンドにつながる道の始点(終点)、ジョン・オ・グローツに辿り着く。スウェルの向きに合わせて、ここで東海岸にとどまるかそれとも北海岸に回るかを判断したい。
地名や人名を聞くと、ここが北欧の影響を受けてきた場所だということが分かる。海岸線には高い絶壁が続き、時折入江に小さな港があり、灯台、お城、廃墟がポツポツと残されている。海に目を向けると、アザラシが岩の上でグループになって寝そべっている。

【名所:John O’Groats】
イギリスで“最も人気で大きな挑戦”のゴール(スタート)地点。人々は南西のランズ・エンドからここ北東のジョン・オ・グローツまでの1913kmを自転車、ランニング、または徒歩で踏破。周辺にはカフェやスイーツ、フィッシュ&チップス、お土産屋、そして最高の景色が揃っている。

©️ I LOVE THE SEASIDE

【観光:オークニー諸島デイトリップ】
新石器時代の遺跡が残り、一部が世界遺産になっているオークニー諸島。ジョン・オ・グローツ・フェリーを利用すると、名所を巡る日帰り旅行が楽しめる。北欧の影響が残る個性的な島々は訪れてみる価値あり。
公式サイト

©️ John O’Groats Ferry

【宿泊:Together Travel】
小さなお店が集まったエリアにあるガラス張りの木製ロッジ。最高のロケーションにあり、室内からは絶景が楽しめる。室内は最先端の設備が備えられ、キッチン周りも快適。時間が許す限り滞在したくなるアコモデーション。

住所:John O’Groats KW1 4YR
公式サイト

©️ I LOVE THE SEASIDE

サーフィンスクール:North Coast Watersports
スコットランドの元女性チャンピオン、イオナが2019年に始めたサーフィンスクール。レンタルもあり、希望すればガイドもしてくれる。場所はジョン・オ・グローツから西側へ回った北海岸にあるコールドウォーター・サーフィンのメッカ、サーソにある。

住所:Lower Lochside Cottage, Castletown, Thurso KW14 8SL
公式サイト

©️ North Coast Watersports

スポット:Brora, Keiss Beach
ハイランド地方の東海岸は、波の立つ頻度は少ない。しかし北、もしくは北海から大きなうねりが到達するとき、風をかわすポイントに綺麗なラインナップが現れる。自分たちで波を予測するのは難しいので、ローカルと友達になるか、サーフボードを載せた車が通るのを観察してみて。そしてサーチしてみよう。知られていないポイントはまだたくさんあり、予期せぬ波に遭遇する可能性も。

Brora(ブローラ):Moray Firthの北に位置する、南東向きのブローラ。うねりは届きにくいが、一度入るとビーチ、河口、南端のリーフの選択が可能。北もしくは北東からのうねりに反応し、ミッドからハイタイドの時間帯がベスト。ところどころにある岩場に注意。北西の風がオフショア。Seabreezes Campingへ向かう途中に駐車するか、ゴルフクラブの駐車場に停めてビーチへアクセス。

レベル : 中級〜上級
ボトム : 砂、リーフ
駐車のしやすさ : ○
その他:中心地にカフェ、キャンプ場、公衆トイレあり

©️ I LOVE THE SEASIDE

Keiss Beach(ケイスビーチ):潮が上げるとパワーがなくなるため、ミッドタイドがオススメ。ハイタイドでもサーフィンを続けたい場合は歩いて南方面へ。サイズを求めるなら古城を目印に北へ。車は少し南へ下ったStainという標識近くに停められる。

レベル:初級〜上級
地形:砂、リーフ
駐車のしやすさ:△
その他:周辺に設備なし

©️ I LOVE THE SEASIDE

イギリス/ウェールズ・コーンウォール

北の入江のビーチコーミングから西海岸の透き通ったチューブ、南に行けば穏やかなサンクチュアリの世界。コーンウォールには多様な海があり、ポート・アイザックやマウゼルなど、ポストカードのような美しい港町もたくさん。
コーニッシュの人々はみな陽気でフレンドリーで、自分たちの文化と遺産を誇りに、コーニッシュ語の復興に励んでいる。海岸線を散策していると孤独を感じることもあるが、町には冷たい海でサーフィンした後に温かく迎えてくれるコーヒーショップや移動販売のパン屋さん、サーフショップやスクール、居心地のよいパブがたくさんある。
ポイント間を車で移動するのも楽で、波のない日は泳いだり、カヤック、日光浴、SUPで美しい景色を堪能。カリフォルニアのような雰囲気もあり、一度訪れると帰りたくなる。

©️Clare James

【エリア:NEWQUAY】
ニューキーには多種多様なビーチ、アクティビティ、ナイトスポットなど、お楽しみリストは無限。夏には世界中からサーファーが集まり、カフェやバー、ヘルシーなグロサリーは人で溢れている。少し前まではパーティタウンとして知られており、あまり評判はよくなかった。しかし今はクリーンな町へと生まれ変わり、サーフスクール、サーフホステル、クリエーター、ショップオーナー、シェイパーなど活力のある人たちばかり。
ほとんどのビーチは町の中心から徒歩圏内にあり、常にどこかでサーフィンできる。初めてサーフィンする人、ビッグウェイブで有名なクリブバーにトライしたい人、できるだけ多くの波を楽しみたい人、色んなタイプのサーファーが楽しめるのがニューキー。楽しめないタイプをあげるとすると、それは人混みが苦手な人。

©️ Lily Plume

【ショップ:Sand&Palm】
アーティストでデザイナーのヴィッキー・ジョーンズが手掛けるスイムウェアブランド「サンド&パルム」。サーフィン中に波にもまれてもズレないと人気に。環境に配慮した素材を使い、ひとつ一つアトリエで作られている。明るい店内には水着だけでなく、アクセサリーや洋服もラインナップしている。

住所:5 Wesley Yard,Newquay TR7 1LB
公式サイト

【スクール:Womens + Waves】
「ウーマン+ウェーブ」は女性サーファーをエンカレッジするコーチングクラブ。そこに集まる女性たちはフレンドリーで情熱を持ち、よい雰囲気が流れている。興味があればウェブサイトやSNSにアクセスし、気軽に参加してみて。同じ目的、興味を持ったサーフィン仲間が見つかるかも。

住所:8 Beacon Road, Newquay TR7 1HH
公式サイト

©️ Clare James

スポット:Watergate Bay, South Fistral
2つの海岸線と複数の入江により、どこかしらで風がかわせる。しかも移動時間は1時間以内! ローカルはとてもフレンドリーで、ポイントの情報も快く教えてくれる。波や地形を理解すれば、滞在中にたくさんのポイントでサーフィンできる。

©️ Clare James

Watergate Bay:南はメロウな波が立ち、北は速くてパワフルな波がブレイクするウォーターゲイト・ベイ。すべての時間帯でサーフィン可能で、うねりが小さくてもブレイクしている。どこも混雑しているが、ピークも多数あり。東風がオフショア。

レベル:初級〜上級
地形:砂
駐車のしやすさ:○ 有料
その他:周辺にサーフショップ、スクール、公衆シャワー、トイレ、レストラン、キャンプ場あり

©️ Clare James

South Fistral:ノース・フィストラルより少しサイズダウンするが、レフトのロングライドが楽しめる人気のポイント。ピークへたどり着くには長いパドルか、岩の上からジャンプ。ビーチの真ん中にカレントがあるので注意。南東風がオフショアは。

レベル:初級〜上級
地形:砂
駐車のしやすさ:○ 町にある有料パーキングを利用
その他:周辺にサーフショップ、スクール、公衆トイレ、レストランあり

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