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知っておきたい「サンゴ礁」の価値|多くの海洋生物が暮らす生態系のしくみとは?

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世界中のサンゴ礁をすべて合わせても、海底を占める割合はたったの0.1%にすぎないけれど、
そこには全海洋生物の1/4もが暮らすほど、サンゴ礁は海のなかでもとりわけ多様性に富んでいる。
この麗しき揺りかごが豊かにあれるのも、住人すべてが役割分担を持ち、その個性を発揮しているおかげ。
動物として生きるサンゴは、褐虫藻という植物プランクトンと共生し、光合成を行いながら酸素を作る。
海の植物プランクトンや海藻類は、私たちが呼吸する酸素の2/3をも作り出していて、
熱帯林よりはるかに多いCO2を吸収し、天気や気候をも動かして水を運び、世界中の大地を潤してくれる。
華やかなコーラルガーデンを賑わすトロピカルフィッシュもサンゴにつく海藻を食べ、
魚たちが排泄したサンゴの欠片は砂浜に、死んだサンゴも次の世代を育む土台となり、純白のビーチを作る。
小さなエビやベラたちは魚のボディについた寄生虫をついばむ掃除屋さん、そんな微笑ましい共生もあれば、
思わず「残酷!」と言いたくなるような弱肉強食ぶりや共喰いを見せる生き物もいたり、
強面のサメたちも、サンゴ礁の首領として獲物を食べ、小魚が繁殖しすぎないようバランスを保っている。
海も陸も、そうして「生命の環」を巡る物語は果てしなく続き、誰一人としてその環から外れることはない。
「サメは怖いから嫌い」「これはマイナーな雑魚」「菌は悪者」と思うのは人間側の勝手な偏見で、
本当は必ず誰かや何かの役に立ち、すべてが矛盾なく、生命を捧げ合って生きている、みんな大切な仲間たち。
浅瀬の癒し系からユーモラスな深海生物まで、まだ発見されない名もなき存在たちもたくさんいるけれど、
それぞれ違ったみんなが集まって、壮大な連環を織り成してこそ、地球はピースフルな調和を奏でられ、
あるべき環境で、そこにいるべき顔ぶれが揃い、多様性に富んでいてこそ力強くしなやかな回復も叶う。
けれど今はサンゴ礁だけで世界の半分以上が消え、生態系のピラミッドも崩れ、自然は蘇生力を失うばかり。
生物多様性や気候危機はゲームのジェンガにも例えられ、どこかの何かが欠けるといっきに崩れ落ちるように、
今はいつ、その「いっせい崩壊」が起きるか分からないと言われるくらい、私たちは瀬戸際に立っている。
文明社会に浸っているとつい視野が狭くなって、人間が中心のように錯覚するかもしれないけれど、
どうかこの地球に宿る自然の精妙さと、万華鏡のような生物多様性の美しさを見逃さないように。
そしてこれからは海が、森が、生き物たちが力強く豊かに蘇る姿を見守り喜んでいける世界へ。
すべては私たち人間も、礼讃されたる「生命の環」の一員として誇らしくあれるように――。