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【連載】地球の今、海の今を知る|Vol.26 私たち人間も、地球にとって大切な一員として

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地球環境と生き物たちの危機、破壊や汚染にプラスチックと、さまざまに地球を傷つけてきた人類は悪者なのかと、最近そんな声もよく耳にします。もちろん人それぞれに意見は違うと思いますが、私はただ、今のスタイルが問題を招いただけで、人類も存在していてこその地球……ならば、私たちはこの自然界の大切な一員としてどう在ればいいのだろうと、いつからかそんな問いを心の奥底に、答えを探っているような気がします。

以前、素潜りでウニやサザエなどを獲る海女さんたちに会ったとき、人間もたしかに自然の一部だと感じる、こんなお話を伺いました。今は温暖化によっても藻場の消滅が進んでいますが、昔は日本各地にいた海女さんが今はすっかり減ってしまい、獲られなくなったウニなどが極端に増えたことで海藻が食べ尽くされ、ますます海の均衡が崩れていると。海女さんたちは昔から「決して獲りすぎない」ことを心得ていて、それでも「人間が適度に海の恵みをいただくことで、海は調和が保たれる」と、海と共存する精神を受け継いできました。日本人は里山という文化でも、粛々と山を守り、里で水田を作り稲作などを営みながら、豊かな生物多様性も守ってきました。水田は雨水を溜めて地下水を育み、多様な生き物たちも豊かに集い、さらには洪水の被害を軽減させる役目もあり、私たちがお米を食べて田んぼを守ることも、自然を守る大切な要素です。それが現代になると主食はお米から輸入小麦に、魚介は乱獲が進み、海も陸も、利益や便利さを求めるあまりに自然への思いやりに欠ける行動が当たり前となって、そうして環境も生態系もどんどん調和が崩されてしまいました。

–{人間もたしかに生物多様性の一員}–
人間の無干渉でバランスを崩す自然と、人間の過干渉でバランスを崩す自然。現象は正反対のようでも、そこにあるメッセージはひとつ。人間もたしかに生物多様性の一員、だからこそ自然と人とが程よく助け合い共存共栄すること、そして動植物と同じように、私たちも必要最低限の恵みをありがたくいただくことが大切なのだと、海女さんの姿勢から学んだことを覚えています。そもそも地球に生きる生命は皆、他の生命をいただくことで生きています。たとえばクジラたちは大きな口で豪快に、海水ごとたくさんの小魚を丸飲みしますが、言ってみれば私たちの食事も、そんな彼らの捕食シーンと同じ、生きるために欠かせない営みの一つです。人間の場合は、飼育方法や環境負荷を考慮してお肉の消費を減らそうとか、肉食か魚食か菜食かといった論争もあるけれど、もっというなら植物だって尊い生命であり、量子力学などの研究では、植物にも意識や感情があることが分かりつつあります。無口で静かに生きているようでも、植物同士で会話を交わし、助け合い、さらには人間の気持ちや意図を理解し、乱暴に扱われると悲しみを感じ、恐怖に怯えたりもするのだそう。そうなると、「動物の殺生はNG、植物ならOK」というより、どんなものでも尊い生命をいただく感謝を忘れないことが、何より大切な心得のように感じるのです。

美食グルメを求めて、味や見た目をジャッジすることは簡単だけれど、「このお米や野菜が、このお魚が育つのに、どれだけたくさんの生き物が栄養を分けてくれて、どんな人たちが支えてくれたのだろう」とその背景に意識を向けてみると、美味しいか美味しくないかよりずっと奥深い、たくさんの感動とありがとうで胸がいっぱいになったりもして。試しに1回でも、食べ物を口に運ぶとき、たくさんの生命たちが今日も自分の糧になってくれる感謝をていねいに感じてみると、何か新しい気づきに出会えるかもしれません。食べものだけでなく、私たちは呼吸をするだけでも自然に生かされ、同じようにすべての生き物たちが皆、生命を捧げ合って生きていて、その中でもこうして他の生き物たちを思い、守り、感謝ができるのもまた、私たち人間だけなのだろうと思っています。