
Heal the Mother Planet. We take care of the Earth,
then she takes care of us……
-You are not just a drop in the ocean.
We are the wave of change……to protect what we love.
この世界はもしかしたら、良いか悪いかということよりも、すべては巡りゆく循環の一端でしかないのかもしれない。たとえば激しいスコールに打たれたとして、それも地球にとっては大切な水の循環で、一時は空が重たい雨雲に覆われて、雷雨に震えるようなときがあっても、しばらくすればまた雲間から美しい光が射し込んで、彼方にはいつのまにか青空がそっと顔を出す。ふと見上げるとそこには一瞬で心がほころぶような、おっきな虹が架かっていたりして。海はまたゆったりと、美しいウェーブに縁取られながら、陽光を受けた波頭がキラキラと宙を舞って、雨上がりの太陽とそのあったかさに感謝する。気づけばMellowなサンセットに包まれて、今日もまた、水平線に溶けていく夕陽をしあわせな気持ちで見送るような……。
地球と私たちは今、いろんなことがアンバランスの渦中にいて、それももうすぐ地球の行く末までもを決めてしまうような、大きな分かれ道の前にいる。けれど同時に、こんな今だからこそ気づけること、変わっていけることもたくさんあるような気もしている。それは「これから被害が大きくなるから対策しよう」というよりも、先進国のTOO MUCHを支えるために、すでに穏やかな暮らしができなくなった人たち、過酷に働かされる人たち、瀕死なほどに傷ついた動植物がたくさんいること。気候科学者の江守さんがくれたこんなメッセージに、改めてそんなことを考え直してみたくなった。
「気候危機の本質は、日本も直接的に熱波や豪雨のリスクが増えること、ティッピングポイントを超える地球の限界のスイッチを今の人類が押してしまうかもしれないことに加えて、『気候正義』も大きいテーマだと思います。温室効果ガスをたくさん出しているのは先進国や新興国ですが、最も犠牲になっているのは脆弱な途上国の人たちです。彼らはCO2をほとんど出していないのに、ずいぶん前から干ばつや食糧危機に苦しみ、難民になり、紛争になり、絶望的な状況で命を落とす人たちもたくさんいて、海面上昇で消えていく国もある。そういう弱い立場の人々や、未来を生きる世代が、自分たちのせいじゃないのに理不尽に苦しむというアンフェアは、やっぱり起きてはいけないことで『おかしい』と思わなくちゃいけない。日本はまだセーフだからいいという話ではなく、この不公平さこそ、できるだけ早く温度上昇を止めなくちゃいけない大きな理由だと思います。そのために、負荷を減らそうと一人で取り組むだけでなく、ぜひ『声を上げる』アクションもプラスしてもらいたいと思います。たとえば黙ってパワーシフトをするよりも、元の電力会社に『再エネ100%にしたいので契約を変えました』とメールをしたり、一つひとつの選択を『私は早くCO2を出さない世界に変えたいんです』という意思表示にしてみてください。レジ袋を断るときも『私はプラスチックも使い捨て文化も好きじゃないので』と言うくらいのつもりで、自分のアクションを社会を変えるメッセージにしてほしいなと。まだ対策が不十分な社会を動かすには、そうした皆さんの声が大きな後押しになります。周りに会話を広げ、署名活動に参加し、環境問題の解決に本気で取り組む企業や団体、新しい技術を応援するのもオススメです。ただ、エコなものなら大量にどんどん生産・消費・廃棄を続けてもいい、そうして儲けなくちゃ……という方向性では解決になりません。単にCO2を出さなければいいということではなく、今の社会経済システムの在り方自体を見直すことも、大切なんだろうと思います」
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気候も水も、これまで特集してきた生物多様性も、ゴミやプラスチックも……問題は別々のように見えて実は繋がっていて、どれにも共通することは、今のスタイルを続けていけば、美しい地球も明るい未来もどんどん消えていくということ。それに気づき始めた人たち、そして明るい未来への解決策も、すでにたくさん存在していて、ベストじゃなくてもベターなほうを選ぶことは誰にでもできる。正解かどうかより、ただ心があったかくなるほうへ、愛のあるほうへ。そして今は誰もが完璧にできないからこそ、もっと優しい選択肢を増やしたいと、声に出していくことも大切なのだと。
私たちはみんな、必ずどこかでつながっている。地球も「テレコネクション」といって、たとえば地球の裏側で起こった水温上昇が日本の海にも影響するような、極地の異常がアマゾンの熱帯雨林をサバンナに変えてしまうような、遠く離れた場所同士もシーソーのように繋がり変化をし合っている。それなら、今ここのわたしの変化もきっと、地球のどこかに必ず届いていくのだろうと。すでに絶滅していったたくさんの生き物たち、プラスチックなんて一つもなかった海……失ったものは二度と取り戻せない悲しみも忘れることなく、それでも、たとえば私たちが海で大胆にすりむいた傷もいつしか自然と治っていったように、地球にも自ら健やかさを取り戻そうとするホメオスタシスが備わっている。私たちはその大いなる再生力を信じて、これまでのように地球を傷つけるスタイルをただただ手放していけたら。そのうちにきっと、この暗雲が晴れた先にはおっきな虹が待っていて、海の優しさに触れるときの至福を、地球の美しさに感動できる喜びを、未来にずっとつないでいけることを祈って──。