
愛する海がゴミで溢れている悲しい現実。30 年後にはゴミの数が魚の数を上回るという調査結果も。まずは、ゴミを見かけたら拾ってみる。そんな小さなことでも私たちの行動が未来を変えるはずだから。
すでにビーチクリーン活動をしている人もいると思うけれど、改めてなぜビーチクリーンが必要なのか?ゴミを拾うことでどうなるのか?
私たちの行動がどう影響するか知っておこう。日本の海岸環境の保護を目的に活動する国際環境NGOサーフライダーファウンデーションのジャパン支部(以下SFJ)代表を務める中川淳さんに、ビーチクリーン、ひいては海の環境を守るために、私たちができることを聞いた。
Q:そもそもビーチクリーンはなぜ必要なのでしょうか?
中川さん:海のゴミは70%以上が街から流れてきたものとされ、年間約500〜1000万トンという膨大な廃プラスチックが流出しているという推測もあります。さらにこうした海洋プラスチックゴミは自然界では分解されないため、2050年までに魚の数を上回るとも言われています。数字だけではイメージしづらいかもしれませんが、例えばビーチを歩いているときに「この転がっているペットボトルやビニール袋を、海の生き物たちが誤って飲み込んでしまったら?」「目の前に落ちている魚網や釣り針にウミガメやイルカが絡まってしまったら?」ゴミを拾うことで救われる命がある、と考えてみてください。さらに、大人が海の環境を守る行動をとることで、子供への教育にもつながります。SFJではビーチクリーンと連動して「海の寺子屋」という子ども向けの座学の場を設けていて、プラごみでアートを作るワークショップなども開催しています。環境活動って未来に向けての活動なので、子供達とこの問題に向き合うことが大切だと考えています。
Qビーチクリーンに必要な持ち物はなんですか?
中川さん:ガラス片などの鋭利なもの、ときには注射器が落ちていることもあるので、怪我をしないように素手ではなく、トングなどを使うのが良いと思います。これからの季節は水分補給も忘れずに。もちろんマイボトルで! リユースできるマイゴミ袋を車に積んでる人も増えてきています。SFJのオンラインストアでも使い捨てではない専用のゴミ袋も購入可能です。
Q:実際にビーチクリーンをする際に気をつけることを教えてください。
中川さん:拾ったゴミの処理についてよくお問合せをいただきますが、基本的に片手で拾える程度ならば持ち帰ってください。ボランティアの盛んなビーチには、ビーチクリーン専用のゴミ箱が設置されています。地域によって分別や回収のルールが違うので、行政などにルールを確認してください。
Q:最近の海のゴミは以前と比べてこんなものが増えたなど、変化していることはありますか?
中川さん:やはりプラスチックゴミが増えていますね。マイクロプラスチックがどこの海岸でも増えてきていて、深刻な状況だと思います。漁具のゴミも多いのですが、理由がわかるものは対策が可能なので、具体的なアクションを起こしやすいです。そして、ゴミを手にしたらいったん見つめてみてください。そのゴミがなぜ海に漂着したのか? どうしたらなくすことができるのか?と考えることに繋がります。気づいた人は、家庭や勤務先、SNSでも広く伝える活動をしてみましょう。一人でも多くの人に伝えていくことが、この問題を解決する唯一の方法です。そして、ビーチクリーンとともに、ゴミを出す前のことを考えることも大切です。商品を購入するときに、その商品の開発背景や、どういうゴミが出るのかまで考えてみましょう。キッチンでは「排水溝に今入っていたものが海に繋がる」とイメージする。そうすると古新聞で油汚れを取り払ったり、洗剤は最低限にしたり、生分解性の高い洗剤に替えるなど、次の行動ができるようになります。最終的に自分たちの身体に降りかかってくるかもしれないと考えれば、使うものもおのずと変わってきます。俯瞰で見ること、点がつながって線になるということを忘れず、日々生活の所々で気づく事柄を実践していきましょう。環境を想い行動し、発信するステキな方たちが今後のサステイナブルライフを牽引するはずです。
地元の海岸清掃のプラットフォームをチェック!
ビーチクリーン活動を支援している地域・団体も多数。例えば美化財団のある神奈川県では、事前に清掃申込をすると、無償でごみ袋の提供とごみの回収を行ってくれる。財団から送られてきたごみ袋を使ってビーチクリーンをし、指定の場所にごみを集積しておくだけでOK。事前に自分の住む街や、よく訪れる海で活動している団体の情報を調べてみよう。地元の海岸清掃のプラットフォームをチェック!
#withHONEYcleanaupに参加しよう!
HONEYのコミュニティサロン「with HONEY」でも月に1回クリーンアップデイを設け、メンバー各自で身近な海や街のゴミ拾いをする活動をスタート。自分の拾ったゴミに「#withHONEYcleanup」のタグをつけてSNSで投稿。この活動は、どなたでも参加できるので、メンバー以外の方もぜひ。みんなで声をあげ、クリーンアップの輪を広げていこう。
中川淳さん
Surfrider Foundation Japan 代表
1984年にカリフォルニアで発足した通称SFJは現在世界23 ヶ国、
約25万人のメンバーで活動する国際環境NGO団体。海岸環境の保護
を目的に水質調査活動、ビーチクリーン支援や、子供達のための学び
の場「海の寺子屋」も開催。https://www.surfrider.jp/