【連載】地球の今、海の今を知る|Vol.38 「リゾート開発」という名の環境破壊、あなたはどう思う?

先ごろ、英国グラスゴーで開催されていたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)が終わり、地球の大きな分岐点とされる2030年に向けて決意を新たにした世界。今回のCOP26は「気候変動を止めるための最後のチャンス」とも言われましたが、1.5℃目標に向けて対策強化を誓う国、まだまだ後ろ向きな国、課題もさまざまだったよう。そんななか、2030年までに森林破壊をゼロに、土地の劣化も回復に努めようとする「森林と土地利用に関するグラスゴー宣言」も発表され、日本を含めた100ヶ国以上が合意しました。二酸化炭素の吸収源と貯蔵庫にもなっている森林や大地を守る取り組みは、気候変動対策に大きな効果が期待できるもの。「自然の征服者としての人類の長い歴史を終わらせ、保護者となる機会」と語ったジョンソン英首相の言葉も、とても印象的でした。

Vol.33からしばらくテーマにしている観光の面でも、乱開発による土地利用、森や海を開拓する「リゾート開発」という名の環境破壊が繰り返されていることは、大きな問題の一つです。とくにオーバーツーリズムの広がりとともに、国内外で新しいホテルや商業施設などの建設ラッシュが加速し、なかには多くの反対を押し切って建設が強行されるケースまで。開発が進むなかでは、人々が愛し守り抜いてきた自然や生態系、文化は壊され、豊かな海や森が汚され、地下水の汚染や枯渇、夜間も煌々と明かりが灯る光害など、そこに暮らす動植物や人々にとっては喜べない悪影響がたくさん伴っています。現在、日本もあちこちでさらなるリゾート開発が進んでいますが、地元の方々の本音に耳を傾けてみると、こんな声が多く聞こえてきます。「どこまでも透明で美しかった海が、ホテルの建設ラッシュで水は濁り、下水の異臭が漂う海に」「いま青く見える海も、昔を知る島民から見れば汚くて生命力の消えた海」「ビーチが潰され、ウミガメの産卵場所が奪われてしまった」「ホテルもゴルフ場もすでに十分すぎるほどあるのに、リゾート開発といって都合よく環境を壊し続けるのはもうやめて」「企業利益のために自然が壊され、観光業に関わらない地元民にとっては迷惑でしかない」「この島の良さは観光整備されていない、不便でなかなか来られないところにある、そこに価値を見出してほしい。そうでなければオーバーツーリズムを繰り返すだけ」「観光は否定しないけれど、その裏で犠牲にしているものは大きい。そのことを理解してほしい」……こうした声の数々、あなたはどんな風に感じますか?

近年は環境にやさしい「エコリゾート」を謳うホテルも増え、ホテル内の電力を自然エネルギーでまかない、リネンの洗濯や清掃には水を汚さない洗剤が使われ、プラスチック製の使い捨てアイテム(ペットボトルやアメニティなど)の廃止、ゴミゼロへの取り組み、有機農法にこだわった食材、羽毛を使わない枕など、環境や動物、地域への配慮をさまざま取り入れるホテルも広がり始めました。それ自体はとても嬉しく感じますが、今度は「エコリゾート」とアピールしながら新たなホテルをどんどん建設している現状もあり、それでは結局ビジネス優先な環境破壊の延長、これもエコと見せかけたグリーンウォッシュのひとつとされています。

旅はステイ先にもこだわりたい、そんな気持ちも受け止めながら、それでもどんなにゴージャスなホテルでも、やはりもともとそこにあった自然美のほうが何倍も麗しく尊ばれるべきもの。愛する海のことを思えば、海やビーチのあるべき姿を変えてしまう開発は大なり小なり砂浜や海底の地形を変え、それは波のようすや本来の海流までをも変えてしまうということ。生き物たちもどんどんと棲み処を奪われ、自然界にとってはそれが巡り巡って大きな狂いに繋がる。「森林と土地利用に関するグラスゴー宣言」のように、今後は海の開発についても行き過ぎた環境破壊がなくなることを、心から願っています。

text:Ayako Minato

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