
海、そしてサーフィンに魅了され、世界各国を巡ったのちにヨットを購入。現在は1年の半分を地中海の海の上で暮らしているKazumiさん。そんな彼女の海 × 旅のストーリーを3回にわたって紹介します。
最終回となる今回は、風と共に海を旅する「ヨット暮らし」についてのストーリーです。
ヨット旅に恋をしたクロアチアの海

アメリカ大陸をあとにしてヨーロッパを旅していた私たちは、小さなヨットをチャーターし、クロアチアの島々を旅することにした。
青い海に、城壁に守られたクロアチア特有の白い壁にオレンジの屋根の家が立ち並ぶ街並み。地中海には、大航海時代に栄えた都市が海沿いに点在しており、海路で旅をするのにとても向いている。当時の面影を残す風景を海側から眺めることができるのは船旅ならではだ。

ヨーロッパは、とてもヨットが盛んな地域で、夏になると小さな帆船から巨大なスーパーヨットまでたくさんのヨットが海に浮かぶ。乗っているのは、サマーホリデー中の旅行者から、地元の家族、長期航海をしている夫婦など様々。地中海だけでなく、イギリスや北欧も含め、ヨーロッパのヨットカルチャーは日本で想像するよりとても身近な存在のようだ。
そんなヨーロッパで生まれ育った私のパートナーにとって、船で旅をするのは子どもの頃の夢でもあったのだそう。クロアチアで海の旅に恋をした私たちは、この旅を、この生活を続けてみたいと考えるようになった。旅をしながら、仕事も生活もしている私たちにとって、船旅はもうただの子どもの夢ではない。
環境にもやさしい、ヨット旅という選択肢

私たちは旅が大好きで、これまでたくさんのフライトを利用してきた。しかし、フライト時に排出される廃棄ガスは他の乗り物をはるかに凌ぐ量。
たくさんの美しい景色を見てきたにもかかわらず、そこに行くためにこの美しい自然をじわじわと蝕むことになってしまっていいのだろうか──。世界中を旅するうちに、このままでいいのだろうかという気持ちがどんどん強くなっていった。
そんな旅の中で出会ったのが、「船」という古くから人々が利用してきた、最も原始的で環境にやさしい旅の方法。風と水の力だけで旅ができてしまう、この上なくアースコンシャスな乗り物だった。これまでスーツケースに生活のすべてを詰め込み、フライトを繰り返していた生活から、次の旅へ舵を切ることにしたのだ。
風と共に、海を旅をする家

サーフィンをしたことがある人なら知っている、自然のエネルギーに動かされる気持ちよさ。船が風に乗るのは、まさにそれと同じ快感で、そのパワーで旅ができてしまう。風がなければ数日とどまり、良い風が吹けば旅をする。
気の向くままにフライトを繰り返していたこれまでとは違う不便さがあるが、どこに急いでいるわけでもない。自然のリズムに合わせてゆったりと旅をすることが心地良いと感じるようになった。

ゆっくりと美しい入江や小さな村を巡って、各地の珍しい食材に挑戦したり、気に入った雑貨をそのままリビングに持ち込んで使えるのもこの生活ならではだ。
碇泊中のヨットはまるで「海に浮かぶコテージ」
アンカーをおろしてヨットを碇泊させる時は、波待ちのようであり、アフターサーフのような気分。
気に入った入江にアンカーをおろし、自転車がわりにSUPで海の上をお散歩し、日が落ち始めるとデッキでヨガをして1日を締めくくる。船の上のヨガはまた違ったエネルギーの流れを感じる。ストレッチしていると、波のリズムで自然と体に重力がかかるのも、とても気持ちがいい。

碇泊する場所によって窓の景色が変わり、音が変わり、匂いが変わる。森に囲まれた入江に錨を下ろせば、夕暮れとともに漂ってくる木々の香りと虫の声に包まれる。
広いビーチに錨を下ろせば、海水浴にきた人々の賑やかな雰囲気に、ビーチバーから流れる音楽が聞こえてきたり。切り立った崖に囲まれた小さな入江では、ざわざわと波が岩に砕け崖に反響し合う音に囲まれて眠る。
ヨットの生活は、自然をより身近に感じながら生活することができる。

私たちのヨットにはキッチンやシャワー、ランドリー、インターネットなど普通の家とあまり変わらない生活環境が整っている。
少し違うのは、それを賄う水や電気などのインフラ設備。生活に必要な電力は基本的にソーラーパネルで自家発電し、生活用水や飲料水は海水を濾過して利用している。太陽と海が、オフグリッド生活を可能にしてくれているのだ。
海の上で気づいた自然・環境との向き合いかた

ヨットで生活を始めて、自然環境がより身近なゆえに様々な環境問題に気付かされるようになった。
海に浮かぶプラごみや、都市部が近づいてくると感じる大気の匂い、海水の澱み…。海上の美しい海と空気のなかで過ごしていると、人間の営みがいかに環境に影響を与えているのか痛々しいほどに見えてきてしまうのだ。
船の生活用水は直接海に流れるので、シャンプーや洗剤なども全てBioのものを利用するようになった。買い物も地元のマーケットや量り売り店を利用してなるべくプラスチック梱包をヨットに持ち込まないようにし、CO2排出量の少ない地産地消を心がけて生活している。
これらはヨットでの生活を初めてより意識するようになったが、よくよく考えてみると陸で生活していた頃だって気づいていなかっただけで環境に影響を与えてたのではと考えさせられることもたくさんある。
使っていた買い物袋が風に飛ばされてしまった経験は誰にでもあると思う。それが行き着くところが、私が今暮らしている海だったというだけのこと。考え出せばキリがないが、今私たちにできることから海を守って行きたいと思う。

海が大好きな私が行き着いた、ヨットで旅をする生活。もうすぐ私たちのもとには新しい家族が一人増えて、海の上で命を育んでいくことになる。これからも海と地球と向き合いながら、これからの人生の旅を続けていきたい。
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