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【連載】地球の今、海の今を知る|Vol.28 Less is More……「引き算」というスタイル

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多種多様な環境と生き物たちが、それぞれの個性を発揮しながらお互いに助け合って生きている、地球という一つの生命体。それはまるで、地球も太陽や月、水星や海王星などの星々とともに一つの「太陽系」を織りなしているように、もっといえば太陽系も「天の川銀河」を構成する大星団の一員にすぎなくて、さらに俯瞰から見れば無数の銀河が散りばめられて存在している宇宙……。そんな神秘に思いを馳せることができるのは、この地球上ではおそらく私たち人間だけ。太陽や月がどうして浮かんで見えるのか、なぜ明るい時間と暗い時間が入れ替わるのか、どうして空がこんなにも表情豊かなのか、そんな理に感動しながら頭上を眺める動物がもし居たら、それはそれで胸がキュンとするけれど、たぶんきっと人間だからこそ楽しめる特権のような。ましてや、Vol.27で考察したような自然の連環や自己調節システムを知ることができるのも、地球のバランスを科学的に理解して見守っていけるのも、私たち人類にしかできない尊いことだなと感じます。

–{ビジネス優先の破壊と搾取を重ねてきた私たち現代人}–
いつからか経済成長に猛進するあまり、ビジネス優先の破壊と搾取を重ねてきた私たち現代人。そんな背景に気づく人が増えた昨今は、SDGsなどをキャッチフレーズにさまざまなモノやコトが展開されてはいますが、今度は「環境にやさしいものを」「長く愛せるものを」とアピールする新商品がどんどんと作られ、そこでは自然の連環や繊細さを尊ぶというより、たとえば「プラスチックがダメなら紙製品や植物由来に」といった「別の何かを壊すモノ」が増えているような。一見すると良い変化に見えて、それは問題の矛先がすり替わっただけで、根本的な解決になっていないミスリードも多いと感じます。消費者として選択肢が増えていくのは嬉しい反面、背景が不透明なぶん見極めるのも難しく、「良かれと思ったら偽物エコだった」「いったいどれがいいのか、訳がわからない!」とサステイナブル・ジプシーになったりもして。

HONEY Vol.32「NO Earth, NO Us」、Vol.12でお伝えした通り、世界は今、少しでも早く気候変動を止めるために、最低でも2030年までにCO2排出量を半減しようとしています。2020年はパンデミックの影響で世界のCO2排出量は年間約7%減り、今後はもっと大幅に減らさないと間に合わないとされるなか、残念ながら経済復興を優先した国々のリバウンド傾向もすでに見られています。けれど、地球の臨界点が近づく状況を前に、今あるモノをもっと有意義に使うことはできないのかなと、新しい代替品を作るより、TOO MUCHをスローダウンすることはできないのかなと、そう思いながら、今年も日本各地で起こっている豪雨災害に、心が痛むばかりです。

すべてが繋がり合っている自然界、けれどもまだまだ分からないことのほうが多い、母なる地球。人間によって壊され失われたものはそう簡単に取り戻せない繊細さも知っていきながら、私たちが最優先にしたいのは、地球の再生を「邪魔しない」に専念すること。何をするかの「足し算」より、ダメージをなくすために何をやめるかの「引き算」を考えること。だからといって特別なことをするわけでもなく、ひと昔前まで、当たり前に先輩たちが自然への畏怖を忘れず、それが「人智を超えたもの」であることをわきまえて暮らしてきたように。もちろん目指したいゴールは人それぞれに違うと思いますが、試行錯誤を長く繰り返してきた私は、あれこれ複雑に考えるよりもシンプルに、今あるモノを大切に、ミニマルでスローなほうが居心地よくて。モノに惑わされる物質主義からは遠く離れて、なんでもない毎日の恵みに感謝して過ごしたり、日々の体験や誰かの優しさに心が震えたり、愛する海や自然とともに感動を重ねられるほうが人生は豊かだなと、改めて感じているところです。