【連載】地球の今、海の今を知る|Vol.55 これからのスタンダードは「消費から貢献へ」

先進国の私たちはいつからか「モノが人を幸せにする」という価値観のもと、過剰消費を当たり前としてきたけれど、いくらたくさんのモノを手にしても満たされない心、モノが豊かになるほど地球はみるみる豊かさを失っていった長い年月。本当の豊かさって、一体なんだっけ? モノが溢れる世界? それとも、自然が豊かな世界?

前回のVol.54、少し遡ってVol.29Vol.30でも考察したけれど、TVやメディア、PCにスマホ、街なかなどいたるところにPR的な写真や映像、販促フレーズが飛び交う今の社会。「これが足りない」「あれが必要」「あの人みたいに、キラキラした日々を」等々、わざわざ不安や恐怖、不足感を煽っては消費を促す悪循環。その無意識下に溜め込まれていくのは欠乏感や劣等感、優越感や驕り、自己顕示欲や承認欲求、焦りや嫉妬、比較に競争、心配や無価値感……。個人的にライフワークの一つとして学んでいるスピリチュアルの法則から見ても、こんな負のエネルギーが蔓延しているんだから環境問題はもちろん、悲しい事件や争いが絶えない世の中になるのは当然で、「でもほんとはね、“You are enough”なんだよ」という真理を粛々と伝えていきたいと思いながら。同時に、調和を目指したい人も増えている過渡期だからこそ、不協和音や社会の闇がどんどん炙り出されている空気も感じている今日この頃です。

環境問題が深刻化した原因は、消費の加速も一つあるけれど、じゃあ「ファスト◯◯◯」だけの責任かというと、そうでもありません。次々と更新される新作、途端に過去のモデルは古めかしくなる、その無限ループが続くマインドコントロールはファストか否か、サステイナブルか否かに関わらず、あらゆる商品で見られている現象です。一つひとつがどれだけの環境負荷で作られたかには目もくれず、「もうトキメキを感じないならどんどん断捨離してスッキリ!」といった習慣も広がる昨今ですが、先ごろ2022年6月、環境問題に大きく加担するファッション業界について一つのフィルムが公開され、話題を呼んでいます。制作したのはアウトドアメーカーのパタゴニア、その名も『The Monster in Our Closet クローゼットの中の怪物』。おもに気候変動とプラスチック問題を取り上げた内容で、たとえば世界でつくられる衣類の半分以上は合成繊維、つまりプラスチックでできていて、これほどのプラスチック繊維が洗濯排水から世界中の海を汚し続けているというだけでもゾッとするけれど、それでも合成繊維が増え続ける理由は、化石燃料会社の後押しがあるから。フィルムは「ファッション産業は地球上で最も規制が緩く、最も汚染度の高い産業のひとつ。そして地球や人間よりも、利益を優先されている」といった指摘とともに、環境に配慮した商品を買うことは解決策ではない、「買わない」を最初の選択肢に、という提案も散りばめられています。

「“正しいものを買う”ことへの執着は、私たちに間違った決断を押し付ける。そうではなく、ある時点で、消費をやめることです」

「私たちは自分たちを消費者だと考えるように教えられ、消費することが重要、買い物は大きな貢献になる、と聞かされてきました。しかしそれは“従順な買い物ロボット”として自分を見ること……」

「If you don’t need to buy, Don’t Buy.
Because you don’t need so many clothes!

必要がなければ買わないで。だって、そんなにたくさんは要らないでしょ!」

商品を売る側が制作したエンドロールに、こんなメッセージが添えられているのも印象的ですが、改めて今必要なのは「消費は投票」よりも、消費習慣そのものを見直すこと。最近は「消費から貢献へ」というフレーズも広がりつつあるように、地球を壊し続ける消費から、自然の再生に貢献できる在り方へ……。今フィルムも参考にしながら、自分にはどんな貢献ができるかを考えてみるのもいいかもしれません。

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