パーマカルチャーに学ぶ、地球を豊かにするマインドセット(前編)

地球の美しさや豊かさにまっすぐ感謝し感動できる心を取り戻す──。そんなパーマカルチャーライフはお気に入りのガーデンを豊かにするだけでなく、心の中にも幸せの種を蒔き、人生を彩る「内なる風景」もデザインすること。自然と人、社会や環境問題、自分との向き合い方を、東京アーバンパーマカルチャー創始者のソーヤー海さんが、2回にわたって教えてくれた。


“Permaculture to Design your Inner Garden”

#01「自然の読み書き力」を取り戻す

パーマカルチャーは自然を観察し、読み解くスキルも高めていける。生態系とはシステムとして成り立ち、木も単体ではなく周りの植物、土、微生物、気候などと密接に関わり、川や木の枝、葉脈、人間の血管も、末端から細い管が寄せ集まってだんだん大きな流れに繋がっていく。そうして自然界はすべてに機能的なデザインや精妙なパターンがあり、それを理解し読み解いていくと、答えはすべて自然の中にあることも感じ取れるんだ。サーファーがいい波を探し、波の動きや潮を読み、危険を察知できるように、日常的に自然と対話し、雲や風から天気を予想したり、動植物や大地の声、気候の変化などから何が起きているかを察知する、そんなエコロジカルリテラシー(生態リテラシー)を昔の人は当たり前に使えていた。現代人もそうした自然の読み書き力を取り戻せたら、日常も地球ももっと楽しい遊び場になるはずだよ。

#02 コントロールを手放し、自然と和解する

現代は自然を切り崩して、人工物を崇拝して、苦手な存在も害獣・害虫も排除して……と「敵をやっつけよう」「コントロールして制圧しよう」といったマインドも蔓延しているけれど、そんな自然との関わり方を変えることも僕らの重要なミッション。原生林のように循環が美しければ自然は豊かになり、僕らもその循環の車輪にのれば自動操縦で豊かに回っていける。けれども現代人はその輪から大きく外れてしまっているから、がむしゃらに頑張って経済を回さないといけないし、環境問題を解決するにも必死に何かを頑張らないといけない。でも僕らは自然の一部だから、たとえ東京駅の地下3階にいても、呼吸をするだけでいつも酸素という「海と森からのギフト」に生かされている。海と森が健康なら僕らも健康に生きられ、生態系の調子が悪くなれば僕らの調子も悪くなる……まさに“We are earth!” なんだよね。

#03 分離から統合へ、エゴからエコへ

今は「自然と人間は別々の存在」といった分離感が広まっているけれど、人間は自然の一部だから、エコシステム=生態系が崩れたら人間活動も成り立たない。人間が一番トップにいて、自然はいくらでも破壊して搾取してもいいようなエゴシステムを変えないと、どれだけエコやSDGsを頑張っても環境負荷は減っていかないと思うんだ。もう少し踏み込むと、「環境問題は外側の問題、自分と自然環境は別物」といった分離の思考があると、やっぱり本質的な解決には至れないんだと思う。自然も自分も一心同体、だから僕らの意識と暮らしが変わることは大きな影響力を持っている。たまにエコ活をするんじゃなくて、パーマカルチャーのように暮らしの中で自然と共存する人が増えれば、すぐに巨大な組織や社会を変えることはできなくても、毎日の自分から広がるプラスの波紋が想像以上の好影響につながっていくと思っている。

#04 「セブンジェネレーション」を考える

セブンジェネレーションとは、「地球は先祖から譲り受けたものではない、子供たちから借りているもの」というネイティブアメリカンの精神から、何事も決断するときは7世代先のことを考えようという在り方。今の行いはもれなく未来に影響が及ぶのに、僕らは地球環境を不安定にして、限りある資源を使い果たし、ゴミだらけの地球、永遠に残り続ける化学物質や核廃棄物など、たくさんの負の遺産を後世へ手渡すことになった。子供たちの未来をゴミ捨て場にはしたくないし、今のままでは7世代先まで人類が命を繋げるかどうかも危うい。けれども、僕はパーマカルチャーを通して地球環境の再生に貢献していきながら、これまでのように男性性が中心になる社会ではなく、女性も子供たちも大切にされる、すべての人が安心してイキイキと生きられる豊かな世界を育むことに、人生をかけたいと思っているよ。

#05 地球は大丈夫、人類の未来を考えよう

何十億年もの間つねに変わり続けている地球、そこに現れた人類はほんの短期間のうちに自然を破壊してきたけれど、人間の破壊活動がなくなれば、地球はその無条件の愛でゆっくりと再生し、存続していける。だから「地球を救わないと」というより「地球は大丈夫」、僕たちが危機的な状況なんだ。これまでにもローマ帝国をはじめ何度となく文明は崩壊し、その原因を振り返ると今と同じ。富裕層や権力階級がどんどん増えて、人と自然資源を搾取しながら栄えたものの、限界を超えた頃に崩壊を余儀なくされる、という歴史が繰り返されてきた。ただ、地域が限定的だった昔と違って、現代はグローバル資本主義の下で「地球規模の破壊と搾取」を続けた結果、世界中が崩壊に向かっている。その流れを引き起こした社会システムを真剣に問い直して、すべての生命が大切にされる素敵な世界をみんなで一緒に創造していきたい。

#06 問題の中には、解決策がある

環境破壊でも何でも、問題は終わりがないように次から次へと起こってくる、それは個人レベルから家族、人間関係、地域や社会、人類の集合体レベルでも。そんなとき、問題を無視して見なかったことにしたり、「嫌だな、面倒くさい」と避けたり、文句ばかりを言っていたら事態はますます悪化しちゃうけど、パーマカルチャーは“Problem is the Solution”(問題の中に解決策がある)として、問題がやってきたらまず受け止めて、「じゃあこれをどう創造的に素敵な流れに変えていこうか」って考えてみる。平和道場も、環境問題や資本主義の課題をどうやったら望む未来に導けるか、をいつも実験している。「汚いと思っていた排泄物が地球の栄養」になるように、問題やトラブルと感じる物事には解決策が隠れている。今直面している地球や社会の問題も、そこからどんな美しい芽を育てられるかを、みんなと楽しく実験したい。

人と地球に優しい、快適な暮らし「Green-Minded Lifestyle」

地球や環境に負荷をかけずに暮らしたい。そうした意識を持った海外のサーファーたちの素敵なライフスタイルから見えてくるのは、環境に配慮し自らもヘルシーでい続ける理想の生き方。そこには参考になりそうなちょっとしたヒントがたくさんありそう。

佐田真由美さんが畑づくりを楽しむ理由とは|特集:地球とつながる農のある暮らし

緑が育ち、実となり喜びを感じる。収穫したものを頂き、自然の恵みに感謝する……。幸せが循環する“農のある暮らし”を実践する3人に密着したこの特集。第一弾は佐田真由美さんに話を聞いた。

地球の守り方を知る旅へ。HOTEL WHYでゼロ・ウェイストについて考える

徳島県の山間の町、上勝町はリサイクル率80%を達成したエシカルマインドが根付いた町。そこに佇むHOTEL WHYは、世界初のゼロ・ウェイストアクションホテル。施設内にはホテルのほか、45種類に分別するゴミステーション、地域の人が不用品を循環できる“くるくるショップ”などがあり、ごみに対する意識や疑問を学びながら滞在できるのが魅力的。ここからは、滞在して体験できる一日の流れをご紹介。

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