Design My Life!|パーマカルチャーのアイデアを日常に

自然と人が、共に豊かに循環していけるパーマカルチャー。そのアイデアを日常に取り入れてもっと楽しくクリエイティブにQuality of Lifeを高める人生をデザインしてみない? 2011年から「東京アーバンパーマカルチャー」を主宰するソーヤー海さんに、そのヒントを聞いた。


EDIBLE GARDEN
エディブルガーデン

一粒の種を蒔いたら太陽や水、土や微生物たちに育まれ、虫や鳥たちもやってきて受粉を手伝い、やがて実がなりそれを頬張る。実り一つの中にはそうした自然の営みや動物たちのストーリーが宿り、人間は少し手を貸すだけ、食べ物は自然が育んでくれるもの。プラスチック包装に包まれた野菜やハーブティーを買うより、Edible=食べられるものを育てて、自然の豊かさに触れていこう。パーマカルチャーは大都会のベランダ、小さな鉢植えの中にも生態系をデザインでき、人がほとんど手を加えなくても多様性が豊かになっていく。まずは試しにお店で買ってきた野菜や果物の種を植えてみて。実はお米も大豆もトマトやかぼちゃも、私たちがいただく野菜や果物には種がいっぱい。「アボカドの種を植えるだけで神秘的なパフォーマンスに感動するよ!」と海さん。種は命の源、一つ種を植えれば恵みは増え続け、命をいただいている実感が増えるほど、自然との繋がりも深まっていく。

CITY REPAIR & GUERRILLA GARDENING
シティリペア&ゲリラガーデニング

公共の場や空き地に種や苗を植える、これは「ゲリラガーデニング」と呼ばれ、イギリスから長い歴史とともに世界中に広まっている。ポートランドではアスファルトをハンマーで剥がし、恵み豊かな有機畑を広げ、交差点や空き地に芸術センス溢れるペイントを施し街並みを改修するシティリペアも盛ん。遊び感覚で都市部に緑地を広げるだけで日陰も増え、ヒートアイランドによる路地の高気温が-10~20℃も涼む場合も。勝手に種を蒔くとなると所有権や法律も気になるけれど、すべての動植物はゲリラガーデニングが当たり前、自然界には所有権も境界線もない。誰の許可をもらうことなく植物は自由に種を飛ばし、動物たちの糞に混じった種もどこに芽生えるか無限大。難しいルールは気にせず、空いたスペースを「生産的に活用する活動」だと思ってポケットに種をしのばせ、土を見つけたら植えてみる。その成長を見守る楽しさとともに、自分の中の境界線もどんどん消えていくから。

CATCH & STORE ENERGY
エネルギーと資源の循環

循環しない暮らしはコストもゴミも増幅していくけれど、パーマカルチャーは循環の中で生きるデザイン性が光り、無駄がなくゴミも出ない。エネルギーは、環境負荷の大きい化石燃料や原子力で発電する電力会社送電網(グリッド)に頼らず、自宅や地域の太陽光発電などを利用するオフグリッドという選択もあれば、一部の電力を自給するアイデアも。海さんも調理は薪オーブン、太陽熱で直接ローストできるソーラーオーブンも大活躍! シンプル設計の雨水タンクは誰でも作れて修理も簡単。生活排水が流れ出る場所に手作りの竹炭を蒔けば、微生物の力で浄化された水が大地に還り、地下水も利用できる循環が。トイレの排泄物も汚物ではなく有機肥料に、そうして本来自然界では価値ある存在を「ゴミ・汚いもの・要らないもの」と勝手に決めつけて排除している私たち。パーマカルチャーのアイデアに触れるほど、現代生活がいかに自然から分離しているかが腑に落ちてくる。

CONSUMPTION TO CONTRIBUTION
消費から貢献へ

パーマカルチャーは「消費者から貢献者になろう」もスローガンの一つ。常に「あれが必要、これを買ってね」と誘導されるまま消費に翻弄される現代人だけれど、消費者というアイデンティティは資本主義によって作られた単なる概念と話す海さん。「例えば『お金がないと生きていけない』という呪縛、『経済成長すれば、新しい物を買えば幸せになれる』といった幻想を真実かのように唱えて必死に働き、自分の心身や命まで消費して。企業は儲けるためにもっと環境破壊や搾取を続け、ピラミッドの上層にだけどんどん富と権力が集約する。これってただの『資本主義教』というカルト洗脳でしかなく、これが続けば未来はますます絶望的になる。でも生態系さえ健全なら、たとえ経済が崩壊しても人間は生きていけるんだよね!」。資本主義や消費習慣について考え直し、みんなが豊かさを享受できる命の循環や環境再生のために、自分にはどんな貢献ができるかを考えてみよう。

GIFT ECONOMY
ギフトエコノミー

“Fair Share, Share the Abundance”(等しく豊かさを分かち合う)をモットーに、資本主義や消費依存から卒業するためのギフトエコノミーも世界中に広がっている。「今はお金や対価、見返りがないと回らない社会だけど、お金も経済も人間が勝手に作って苦悩しているもの、大地も勝手に境界を作って所有権を争って、人間はあらゆるモノやサービスに値段をつけて儲けようとするゲームをしているだけ。でもサーフィンをして波から請求書なんて来ないように(笑)、本当は太陽や雨、海や大地、生命の恵み、すべては無償で無条件に、みんなに与えられているギフトそのものなんだよね」と海さん。ギフトエコノミーで豊かさが循環する自然界、私たちも無償で何かを贈り合い受け取り合い、玄関や地域のギフトステーションに収穫した作物や読み終わった本、使わなくなったものを寄付したり、アイデアは無限大。「与え合い」が紡ぐ新たな価値観と豊かさも感じ合っていきたい。


アーバンパーマカルチャー|都会で自然に、楽しく、豊かに生きる(後編)

地球が誇れる自然の摂理は、決して海や川、山々にだけ働いているわけじゃない。都会の真ん中でも生態系はたしかに巡り、デザイン次第で自然も暮らしもより豊かに。そんな都市型アーバンパーマカルチャーも世界に広がり、地球の一隅を照らし続けている。

自然破壊のつめあとが地球上を覆い尽くした「人新世」の時代に

記事:地球にとっては、まばたきをするくらいに「一瞬で起きた崩壊」で、地球が40億年以上かけて育んできた豊かな自然環境と無限の樹形図のような生物多様性を、一瞬で崩壊させた現代社会について振り返った。

“千葉”にサーフトリップへ! 心と身体のメンテナンスが叶う、サウナ宿4選

心地よく波に乗り、爽快感のある海上がり。このまま家に帰るのもいいけれど、せっかくならもっと深く身体をメディテーションしていきたい。程よく疲れた筋肉、冷えた身体をサウナの熱気浴で整えよう。水風呂からの外気浴に浸っている瞬間は、至福のひと時。

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