自給自足の生活を送る村「クリスタルウォーターズ」|世界のパーマカルチャー


オーストラリア・クイーンズランド州に位置する「クリスタルウォーターズ・エコヴィレッジ」。1988年にパーマカルチャーの考え方に基づいて設計された村で、その広さは約260万㎡と広大だ。


村には250名ほどが住んでいて、世帯にすると83以上。生まれたばかりの子どもから、ティーンエイジャー、お年寄りまであらゆる世代の住人がいる。

村は手付かずの美しい自然環境に囲まれ、カンガルーやワラビーをはじめとした野生動物が多く生息し、その数はなんと住人と同じかそれ以上にも及ぶのだそう。


さらに村内には「エコパーク」と呼ばれるキャンプ場があり、観光客などのビジターの宿泊も受け入れている。キャンピングカーで訪れる人やテントを張る人、パーク内にある宿泊施設にステイする人などさまざまだ。

加えて外部の人が多く集まるのは、「パーマカルチャーコース」という14日間に及ぶ講座が行われる時期だ。パーマカルチャーの歴史や廃棄物のリサイクルシステム、土壌や動物についてなどの専門的な知識を学べるほか、村内にある施設を訪れて実際に専門家の経験談を聞き、ワークショップに参加するなど、パーマカルチャーを余すところなく学ぶことができる。


村の中心には「ヴィレッジ・センター」という建物があり、中には小さなカフェや、発酵種のサワードウを使ったパンを焼き上げるオーガニックベーカリーなどがある。建物のウッドデッキでは音楽イベントもたびたび開かれるなど、人の集まる場所となっている。


住人の暮らしは素朴でサステイナブル。それぞれの家もシンプルな造りが多く、自然の素材を使って建てられている家が多い。石造りをはじめ、泥のレンガ造りや藁を積み上げてできる「ストローベイルハウス」など。

また、多くの家にソーラーパネルが設置されているため、自分たちで電気を供給する家庭が多い。そのうえインターネットはヴィレッジ内で光ファイバーによるシステムが構築されているため、高速WiFiが主要なサービスプロバイダーに依存せずに利用できる。

さらに多くの家庭では、ゴミをすべてリサイクルし、水も自前で汲み、コンポストトイレを導入しゴミの量を減らしている。石鹸や洗剤の種類や量にも気を配っているので、排水がとてもきれいなのだそう。

村ではカフェでお茶をしながら住人同士で話したり、ゲームをしたりと、ゆったりとした生活を送る人が多い。ヨガ教室や格闘技のクラス、ピンポンナイトにピザナイトなど定期的に開催される催しも。子供も多く住むが、彼らは自然の中でゲームやアクティビティを作り出し、遊んでいるのもよく見られている。


きれいな空気や水、美しい自然……。そしてコミュニティの雰囲気や、安全なこの村に魅力を感じる人は多い。かつてここで育った子供たちが30代になり、家族を連れて戻ってきたり、自分の子供たちを育てている人もいるのだ。自分や子供が安心でき、いい影響を与えるこのような環境がこれからもっと増えていってほしい。


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