
地球の美しさや豊かさにまっすぐ感謝し感動できる心を取り戻す──。そんなパーマカルチャーライフはお気に入りのガーデンを豊かにするだけでなく、心の中にも幸せの種を蒔き、人生を彩る「内なる風景」もデザインすること。自然と人、社会や環境問題、自分との向き合い方を、東京アーバンパーマカルチャー創始者のソーヤー海さんが、2回にわたって教えてくれた。今回はその後編をお届けします。
“Permaculture to Design your Inner Garden”
#07 問題は症状の一つ、上流から見直そう
気候変動や生物多様性の崩壊、プラスチック汚染、原発問題、戦争、貧困、差別、いじめ、生きづらさ、鬱々とした社会……それらは「症状」が表面化したものだから、症状につながる上流の原因を見つけて解決していけるといいよね。パーマカルチャーでは「問題が生じるのはデザインが悪いから」とも捉えるんだけど、例えばプラスチックは循環しないデザインの代表で、短期間に儲けや便利さを追求して生まれたもの。ビーチクリーンを頑張っている人にとってはいくら拾っても「ゴミが全然減らない」と嘆きたくもなるけど、ゴミだらけの地球なんて誰も望んでいないのに、どうして悪化していくんだろう? それは例えばプラスチックの生産自体がまだまだ増え続けているから、そして多くの問題はいちばんの上流にある資本主義経済、自然と分離した在り方から見直すことが、本質的な解決には欠かせないと思っているよ。
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#08 「止まる」からこそ見えてくるもの
現代社会では「時間がない、お金がない、あれもこれもしなきゃ、経済が、GDPが……」といつも何かに追われ、不安や焦りに囚われ、未来や過去ばかりを考えて「今ここ」を生きられない、そうなるともう自分が主人公ではなくなって、何かや誰かに翻弄されることにもなる。そんな人にぜひ試してほしいのが、「今ここ」を味わうマインドフルネス。僕は30分に1回、スマホアプリのマインドフルネスベルが鳴るごとにすべての活動をストップ。目を閉じて今この瞬間に意識を戻し、呼吸や体の感覚、心はどんな気持ちかを感じる。すると直前までのイライラが「疲れて休みたいだけだったな」と気づけたり、自然との繋がり、周りで起きている美しい奇跡にも心を澄ませられたり。止まるからこそ今まで気づけなかったこと、生きている幸せを感じられ、今この瞬間が愛おしくなる。ぜひ定期的に止まる日常も試してみてほしい。
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#09 「足りない精神」を手放し、今ここの豊かさに気づく
もしも今、みんながすでに十分足りている、心も満たされていると感じられる暮らしだったら、余計な消費も争いもなくなっていくんじゃないかなと思う。でもそれでは困る今の経済は「あれが足りない、こうなったら大変、だからこれを買おう、もっとこれをしよう」と不安や恐怖、不足感を煽ってコントロールしたり。消費者としてはいくら消費しても満たされず、周りとも競い合って、「足りない、もっと、もっと……」と知らない間に不足感に振り回されていたり。でも「足りない精神」は植え付けられた幻想だから、マインドフルネスを取り入れて今ここを感じると、「すでにある」をたくさん感じ取れるはず。僕はガーデンで地球の恵みをもらって食べるだけで「地球って豊かだよな!」と感じて満たされる、でもそれは僕だけじゃなく誰でも同じ。受け取れていない「今ここの豊かさ」をたくさん見つけてみよう。
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#10 違和感があるなら離れて自分の人生を取り戻そう
たとえば資本主義や消費社会への依存を少しずつ減らしていくように、今の社会システムに違和感を感じたらちょっとずつ身を引いて、誠実さを取り戻そう。いきなり脱消費しようという訳じゃなく、自分が「おかしい」と感じた心に素直に寄り添って、自分の価値観とズレていることはしないと決めるだけでも、自分のパワーと人生を取り戻せると思う。「おかしい!」と声に出して、できる範囲で企業や政府、周りに意見を伝えるのもパワフル。それができなくても、パーマカルチャーは毎日の暮らしが社会変革になり、環境再生になり、心の豊かさや思いやりも育めるヒントがたくさん詰まっている。環境問題に向き合うなかでは無力感や罪悪感も感じやすいけれど、自分や他人を責めるのでもなく、危機を招いた破壊的な社会システムに向き合い、みんなでそれを維持するのをやめて、平和で豊かな世界を創造していこう。
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#11 問題のほとんどは単なる「幻想」
問題についてもう少し俯瞰してみると、問題の多くは単なる「幻想」なんだ。経済やお金の心配もゴミの心配も、人間が勝手に作り出して勝手に困り果てている「ただの概念」から発症している。人間以外の生物は誰もお金やゴミの心配なんてしたことがない(笑)。そうして常識の前提を問うことから新しい景色が見える。「あ、幻想だったな」と気づいたら呼吸に戻って生きている奇跡を感じてみよう。できれば問題の上流を見つめて、解決や素敵な流れに作り替えていければそれも成長のチャンスになる。問題だけでなく、何かの信念や概念に執着することって誰にでもあるけど、だからこそ僕もときどき立ち止まって「果たしてこれは、本当に自分や周りを幸せにしているかな?」と自分に問いかけて、必要なら軌道修正をしている。みんなもときどき常識や概念や習慣を見直してみると、いろんな幻想に気づけるかもしれないよ。
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#12 多様性を祝福し、愛に動かされる人生を
自分と意見が違う人、気に入らない存在がいるとつい「あの人が嫌い、この人さえいなければ、ゴキブリは殺せ!」と周りに敵をいっぱい作ってしまう。でも「敵」も僕たちの頭が作ったただの概念。敵がいっぱいいると居心地が悪くて心も荒んできちゃうから、そんなときは「敵という概念」を見つめて、自分の心の奥にある不安や恐れにやさしく寄り添うことが大切なんだ。僕らは一人ひとりまったく違う世界観やストーリーを持って生きているから、自分と違う考えの人がいて当然、みんなが意見を一致させることがゴールじゃなくて。ただ「同意はできなくても共感はできる」、たとえば相手の言動に不満を感じても、相手は相手なりに何かの意図や背景があることを理解したり、気持ちに寄り添って共感することはできる。人も自然も多様性を尊重し、恐れや不安からではなく愛に動かされていこう、BE MOVED BY LOVE !
パーマカルチャーに学ぶ、地球を豊かにするマインドセット(前編)

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地球を「わたしサイズ」で感じてみると|地球の今、海の今を知る Vol.67

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