破壊と調和を繰り返す、地球のサイクル|地球の今、海の今を知る Vol.71


私たちってほんとうは、想像もつかないくらいに壮大な宇宙の神秘に生かされているけれど、その真理をすっかり忘れて、物質文明の発展と環境破壊を広げてきた現代人……Vol.69Vol.70では続けてそんな話に触れてきました。

冷静に考えてみると、流行や価値観を一方的に刷り込まれ、次から次へと新しいモノを見せられて、不足感と消費欲を否応なく煽られてしまう今の社会では、多くの人が人工的な物や情報に夢中になって、「人間社会がすべて」と錯覚してしまうのも当然といえば当然なのかもしれません。

街なかやTV、PCやスマホ、視線を向けるあちこちから飛び込んでくる広告の嵐は、それを受け取る人たちにどんな悪影響があるのかなんて考えもせず、目的はただ一つ、一人でも多くの人の目に触れて、速いペースでたくさんのモノやサービスを買ってもらうこと。

そこではモノを作れば作りっぱなし、売れれば売りっぱなし、買いすぎたら断捨離をして自分の周りだけスッキリすればいい、そんな文化が広まったものの、捨てられたモノたちがそのあとどうなって、どんな海や山々に埋め立てられて、どこの川から海に流れていって、地球をどれほどのゴミで汚しているかを知る人は少ない。ふと気がつけば地球が何個あっても足りないような、そんな生活水準が当たり前になっていたなんて……。

けれども、それもどこかで必ず限界はやってくる、そんな現代文明の崩壊は科学的にもさまざまな予測とともに警告され、すでに50年以上も前、1972年に発表された『成長の限界』のなかでは世界初の科学的シミュレーションによって、現代文明は2040年に崩壊してしまうだろうと予測されていました。

いっぽう科学とはまったく違った視点から、天体の巡りを読み解くなかでも「今は時代の大きな変わり目」といわれ、西洋占星術ではおよそ200年に一度という「地の時代から風の時代」への大転換期に。

地の時代が始まったのは産業革命が起こった18世紀、以降の約200年間は物質やお金、所有、地位、名誉など目に見えるものが重視されたけれど、風の時代は形のないもの、知識や情報、自由、シェアなどがキーワード。と、調べたことを書き並べてはみたものの、私は感覚が超スーパーマイノリティなので(笑)、世間で広く騒がれている風の時代の空気感にはまったく共感できず、けれども「今が特別な節目」という話は西洋占星術に限らず他の分野でもさまざまな説があり、個人的には後者のほうがしっくりときています。

たとえば過去の歴史を見てみると、この世界はおよそ805年ずつの繁栄期と衰退期を含めた、1611年ごとの周期で物質文明と精神文明が入れ替わっていて、今はまさに物質文明が衰退のフェーズへ、代わりに新しい精神文明の繁栄が始まったという説が一つ。

また別の視点で宇宙の流れから紐解くと、太陽の螺旋運動と地球の歳差運動による周期がおよそ2万6000年で一周するなか、陰・陽のサイクルが約1万3000年ごとに入れ替わり、「銀河の冬至」を迎えた2012年を境に、「陰」を象徴する物質的・支配的な文明が終焉を迎え、「陽」の調和的なサイクルへ、精神的な発展をしていく時代に入ったとも言われます。

大転換を迎えるサイクルが200年なのか、1611年なのか、はたまた1万3000年なのか、どれが正解か、どれもが正解なのか、その議論はひとまず置いておくとして、現代はまさに「陰」のエネルギーが蔓延するかのように争いや勝ち負け、所有や優劣、不安や恐怖、不足感から多くのモノを求めて、際限なく自然を破壊しながら物質文明を発展させてきた時代。

けれども、それももしかしたら何かのサイクルの一つで、「そういう流れ」だったのかもしれない。

「流れだった」としてもその一言では片付けられないくらい、人類がこれほどの破壊と危機を招いてしまった時代はいまだかつてなかったはずだけれど、環境問題もまるで膿出しを促されるかのように、これまで水面下に隠されていた背景がどんどんと炙り出されている今。

ダメージや症状もさまざまに表面化しているけれど、それも「いいかげん、地球の悲鳴に耳を傾けるときだよ」というサインのようにも感じています。

それでも、地球がすでにどこかのタイミングで「陽」のサイクルに切り替わっているとしたら、社会も人々も、人間中心主義や物質文明の束縛から解放されて、不要なものは必然的に削ぎ落とされて、多くの人が本当の自分を取り戻していきながら、自然との調和や精神的な豊かさを大切にする時代が始まったということ。

もちろん、その大変容の波に乗るか乗らないかは一人ひとりの選択次第で道は分かれていくけれど、今回は一つ、Vol.62で紹介した「プラネタリー・バウンダリー」を主導・提唱した環境学者、ヨハン・ロックストローム博士のメッセージをシェアしてみます。

これは2020年に配信された動画なので、地球のダメージは当時よりも進んでいる現状もあるけれど、これまでの破壊的な文明を見つめ直すなかに、新しい時代へシフトするための何かのヒントが見つけられるかもしれません。


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